書籍一覧 新刊
小島まち子
『残照 ―義父母を介護・看取った愛しみの日々』
食器を洗おうと鞠子が席を立つと「そんなことすんなよ。それより新聞でも読め」と英輔はいつも気を使わせないようにし、その才能を信じていた。Ⅱ章では美代子の「鞠子さん、人間はね、生まれてから死ぬまで、ほんとに一人きりなの。自分の力で生き抜いて、そして死ぬ時も一人で逝くしかできないでしょ」という口癖を悲しみの底から掬い上げる。このような気の強い美代子と穏やかな英輔から信頼されて、二人の愛しみの言葉を残すことが使命だと感じたのだろう。家族の在り方や終末期医療などの様々な今日的な問題を孕みながらも、人間がいかにより良く生きるかというテーマにした本書を新型コロナ禍で苦悩する多くの人びとに読んで欲しい(鈴木比佐雄 解説より)
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解説:鈴木比佐雄 |
46判/160頁/上製本 ISBN978-4-86435-519-3 C0095 |
定価:1,980円(税込) |
発売:2022年3月28日
目次
まえがき
Ⅰ 穏やかな英輔
1 朝の風景
2 奇妙な留守電
3 二人の新婚時代
4 それぞれの闘病
5 静かな病人
6 夢の中の婚約者
7 英輔の枕元
8 優しさの喪失
9 アーリントン墓地と英輔
Ⅱ 女優、美代子
1 不可能な同居
2 一人暮らし
3 鬱という病
4 要注意患者
5 介護施設の見学
6 この平穏がずっと続けばいい
7 美代子を看取る
8 通夜の一日
Ⅲ 今が一番いい時だな
1 今が一番いい時だな
2 孫への手紙
解説 鈴木比佐雄
あとがき